小説「隠された悲鳴」を読みました

カテゴリー │アフリカのこと

ご無沙汰しています。

アフリカ、ボツワナの現役外務国際協力大臣ユニティ・ダウさんという女性が書いた小説「隠された悲鳴」の読者モニターをさせて頂きました!


最後まで引き込まれて一気に読みました。
「儀礼殺人」がテーマの小説、ということで、暗い話を想像していたけど、壮大なアフリカの景色と野生動物のスリルも味わいながら、「権力」「欲望」「正義」「人間の多面性」を考えさせられる内容でした。そして、衝撃のラスト。

そもそも、「儀礼殺人」という言葉も初めて聞いたし、実際の事件を元に描いた小説、ということも衝撃。儀礼殺人とは、ある儀礼にのっとって、人体の一部を得るために行われる殺人。と、この小説の最初に解説されていました。
インターネットを検索すると、アフリカで、裕福な人がさらに上を目指すために、呪術師に莫大な金額を支払い、若い女性の体の一部を使うために儀礼殺人が行われた、という話も、すぐに出てきました。
私は、アフリカの多くの地域が、今も、精霊とともに暮らしているということに、とても親近感をもっていました。楽器を奏でて、精霊と繋がる話はとても興味深いし、ケニアへ行った際には、伝統呪術師に旅の安全をお祈りしてもらったことを思い出しました。
日本で私は、正月は初詣で祈願するし、厄年にはお祓いにいったし、日本にも陰陽師もいるし、同じような感覚なのかな・・・なんて思っていました。
でも、呪術師や権力者が、欲望をかなえるために、膨大な金を要求したり、殺人をさせる、すること。何をやっても許されるし公にされないこと、は、世界中のどこであっても、許されるべきではないと思います。
今の日本でも、同じように、権力やだれかの欲望のために、犠牲になっている多くの人がいるのではないか、と思えて仕方ありませんでした。
隠された悲鳴は、少女の悲鳴だけではなく、だれかの欲望のために犠牲となって声を上げられない人々の悲鳴のことなんだな、と感じました。
一気に読んだあと、じっくり振り返ると、切ない気持ちになりましたが、この事件に立ち向かった若者たちに希望も感じました。

作者のユニティ・ダウさんはボツワナ初の女性最高裁判事として、人権問題にかかわり、現在は外務国際協力大臣で、コロンビア大学の客員教授も務めているそう。
もうじき、TICAD(アフリカ開発会議)で来日されるそうです。
来日して、何か発信をされるかな、チェックしたいと思います。